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失恋してやけ酒をしたら、婚活炎上の地サイゼリヤで命拾いをした話

失恋してやけ酒をしたら、婚活炎上の地サイゼリヤで命拾いをした話

はじめまして。やまとなでし子と申します。
婚活を経て結婚した経験から、婚活ネタや今まで出会ったダメンズたちについてツイッターやブログで書き殴っています。

やけ酒。それは心の痛みを酒の力で癒す、いや麻痺させる行為。
カリフォルニア大の研究によると、ハエもフラれるとアルコール入りの餌を浴びるように食べるらしい…。

失恋の痛みは、ハエも人間も同様。
失恋の辛さに負けて、ついお酒を飲みすぎてしまうこともあります。
そんな私の失恋後の、とあるやけ酒のおはなし。

失恋でやけ酒したあと、人生最大の失敗が始まった

やけ酒を飲む女性

それは寒さも厳しくなってきた、ある秋。
私は、付き合っていた彼氏にフラれた。
ただの友達だからとよく飲みに行くのを許していた女に乗り換えられるという、ひどいおまけ付き。
その女は私の先輩で、私とも二人で飲みに行ったりと可愛がってくれていた人だった。

男女に友情は成立するんだと信じていた。
信じていたから二人の関係を許していたのに。

何が何だか信じられなかったあの日、とにかく私は飲むしかなかった。
それが私の人生最大の失敗の日の始まりだった。

電車に乗って深い眠りに誘われ…

飲みに飲んだものの、その日は平日。
翌日を考えフラフラになりながら、なんとか終電間近の電車に乗り込み一安心。
それが運の尽きだった。

お酒を飲んで乗った電車の座席は、なぜあんなにも心地いいのだろうか。
「酒を浴びた夜の終電の座席の眠り心地」を再現したエアウィーブが発売されたら、いくらでもお金を積むのに。
案の定、その日はフッと電源が切れるように一瞬で深い眠りに誘われてしまった。

どれくらい経っただろう。

私は駅員さんに肩を叩かれびっくりして飛び起きた。
その瞬間夢と現実の区別が付かず、叫んでしまった。

「はぁ?」という表情の、駅員さんの向こう側に見えた駅名ですべてを察した。

それは見たことのない地名。
1時間以上寝ていたのだろうか。
どうやら考えられないような他県の奥地に来てしまったようだった。

見知らぬ駅で高額の電車賃を支払うはめに

駅のホーム

下車する乗客も私のみ。
ぽつぽつと階段を昇り改札に上がると、同じく酔ったおじさんが一人、何をするでもなく立っていた。

彼に話しかけられながら、精算機で乗り越し金を精算しているところで私は気づいた。
あまりにも遠くに来たため、電車賃を支払うと500円ほどしか手元に残らないことに。

「あぁ、そういえば今日はむしゃくしゃしてなんでも好き放題飲み食いしたんだった。」
酔い冷めやらぬ頭で記憶を呼び起こしていると、おじさんは言った。

「お金無いの?いま改札に駅員いないからでちゃえよ!」(パチッ!ウィンク)

改札(羅生門)でのおじさんの誘惑

あぁ…改札だと思っていたここは、現代の羅生門だったのか。
このまま土地勘のない外に出たとて、500円では漫画喫茶で朝まで潰すこともできない。

運悪く今日は、クレジットカードも持ち合わせていない。
「生きるために悪になれ」と、得体の知れないおっさんはウィンクで誘いかけてきた。

ここが羅生門なら「せやな!」とおっさんを組み伏せて金を奪って出るところ。
しかしフラれくさって落ちに落ちているこの私でも、さすがに下人になることはできなかった。
普通にお金を支払い、おっさんに別れを告げ改札を後にした。

しかし、私はまだ舐めていた。
底なしの田舎というものを。

田舎の夜は闇。スマホも電池切れ

タクシーのライト

とりあえずタクシーで実家に帰って、親を起こしてお金を借りよう。
ロータリーに出ると、そこに広がるのは一面の闇。
街灯もまばらであまりにも薄暗いその風景は、私の心を不安と恐怖に陥れた。
タクシーはもちろん、人一人いない。

「そうだ!携帯でタクシー会社を検索して電話で呼べばいい!」
そう思ってバッグから取り出したスマホは、すでに電池が切れていた。

タクシーという手段を絶たれた私が、次に考えたのが命を繋ぐ銀行のキャッシュカード。
ATMでお金を下ろして、それを元手に漫画喫茶で朝まで時間を潰そう。

草と大型スーパーしか見当たらない駅前

絶望のようなロータリーを後にし、反対側の出口にでた。

そこには漫画喫茶はおろか、ATMのAの字も見当たらないような鬱蒼と茂る草たち。
そのなかにドンとひとつ、大きくそびえ立つ大型スーパー。

当然こんな夜中に開いてはおらず、時間を潰す場所すらない。
ましてや、日本全国あんなにも乱立しているコンビニすらもない。
草と、閉まったスーパーだけ!
Wow!Simple is best!!

また絶望が広がっていた。

漫喫ねぇ。
銀行ねぇ。
車も全く走ってねえ。
携帯はあるが電池がねぇ。
どうにもこうにも打つ手がねぇ!!!!!!

吉幾三が頭で駆け巡るも、よしどこにも行けねぇ。行く場所がねぇ。

オラこんな場所いやだ~。

ポツリポツリと頼りない街灯があるだけの仄暗い環境は、私の酔いを醒ましながら恐怖心を増大させるのに十分な環境だった。

不安な心に希望の光が差す

これからどうしよう。

相変わらずタクシーはまったく通らない。
それもそうだ。これだけ人がいないんだから需要などあるはずない。
このままでは、このSimpleに殺されてしまう。

焦って辺りを見回した私は暗闇の中にひとつ、希望の光を見つけた。

遠くにぽつりと輝く緑色の光。日本人なら誰でも知っている、みんなが大好きなあの緑色。

そう、サイゼリヤだ。

SNSで議論を巻き起こすサイゼリヤ

サイゼリヤは、婚活界隈では「踏み絵」としてしばしばSNSで議論を巻き起こす存在である。
男性が初デートでサイゼに女性を連れて行った時の表情を見て、性格の悪い女ではないかを確認するというもの。

個人的には相手を試すための利用は反対だが、今ならそんな誘いをされてもサイゼに命を救っていただいたご恩が先立つだろう。

夏の若草のような瑞々しい緑に包まれた看板、高貴なヨーロッパ調の壁紙、外観からは想像もつかない店内に飾られる見事なルネッサンス絵画たち、なかでもミロのビーナスを眺めながらミラノ風ドリアを食べる素晴らしさ…。

100円のグラスワインを片手に、死ぬほど難しいキッズメニューの間違い探しを解きながら懇々と語って激モテできる自信がある。

サイゼリヤで朝まで過ごそう!

夜の道路

店内にも電気が付いている!
サイゼなら残金500円あまりの私でも、ミラノ風ドリア299円で朝まで過ごせる!
その瞬間、ひたすらに希望が湧いてきた!

あの瞬間、私にとってその緑の光は星だった。
キリストが誕生したとき、それを知らせるために彼の上で光り輝き、三人の博士を彼の居場所に導いたと伝えられているベツレヘムの星。

その星のように、私が朝まで生きる術とミラノ風ドリアの存在を知らせてくれた希望の星。
それは緑などと、簡素な色では表現できない美しさで輝いていた。
そう、言うなれば深碧、深碧のサイゼリヤの星。

神よ、私はサイゼに忠誠を誓おう。

私は若草色の光に向かって、一心不乱に進んだ。
道などわからないし、迷いたくもない。
目の前に轟々としげる草むらをかき分け、道など無視して一直線に最短距離で突き進んだ。
街灯に集る虫のように、私にはあの看板の光しか見えていない。

道は従うものじゃない!私が作るのだ!!!(サイゼに行くために)
あの地に私にとっての、キリストが誕生しているのだから!!(ミラノ風ドリア)

サイゼリヤでまさかの盲点

ファミレス

星の元に到着し、私は扉を開けた。
早くミラノ風キリストに、ご挨拶をしなくては。

「いらっしゃいませ〜」

私のベツレヘムの星は、事情など知る由もなくいつも通りの接客で温かく迎え入れてくれた。
ありがとう。ミラノ風ドリストに会いに来ました。

座席に座ると、どこのサイゼリヤにも飾られているあの頬杖をつく天使の絵が私を祝福しながら暖かく迎え入れてくれた。

「ここ朝までやってますか?」
「いえ、3時までです。」

あなたは、神の存在を信じますか?
私はこの瞬間、神の存在を信じられなくなりました。
あの天使の微笑みは、私をあざ笑っていたのです。

どうするか?
とりあえず心はミラノ風ドリアに持っていかれていたため、ついそのまま注文してしまった。
欲に弱い自分を嘆きつつ、残金約200円…。
3時までここで時間を潰して、始発まで草むらに埋まって過ごすか?

そこでまた、私はもう一つの救いを発見した。

公衆電話から家族に救護要請

公衆電話

昔懐かしい公衆電話。
これで実家に電話をかけて、迎えに来てもらおう。

母に繋がり、事の顛末を説明する。
「なにやってんの?お父さん出張でいないから車出せないよ。おじいちゃんおばあちゃんに迎えに来てもらいな。じゃ。」(ガチャ)

あぁ神よ、母はなんと薄情なのだろうか…。
実の娘の大ピンチに心配のカケラもない…。

残されたわずかなお金で、再度ダイヤルを押す。

深夜だからか、寝ているのだろうか。
長いコール音のあとに、おばあちゃんが出た。

祖父母がサイゼリヤに到着

ミラノ風ドリアも食べ終わり、天使との見つめ合いも飽きてきたころ、入り口から祖父母がやってきた。

「お腹は空いてない?どこかでラーメンでも食べてく?」

あまりの優しさに、私はもう感謝してもしきれなかった。

「何もなくてよかったわ。この歳になるとね、夜中に電話があると誰かが亡くなったかとびっくりしちゃうのよ。」

優しい祖父母の対応が、失恋とやけ酒と今日の顛末でささくれまくった私の心にじんわりと染み入っていった。

失恋のやけ酒は一時的な楽しみだけ

車の中の女性

失恋してつらいとき、一時的に酒で楽しくなるのはいい。
けれど、それは気持ちにアルコールで蓋をしているだけで、酔いが覚めて蓋がなくなるとまた問題があらわになる。

一時的に蓋をしているだけで、根っこは何も解決にはならない。
この優しい祖父母にいつか孫を見せるためにも、こんな失恋は乗り越えて次に進んで行かなくては。

車窓から緑の看板が遠ざかって行くのが見える。
強くなろう。そして明日からまた頑張ろう。

そんな私の、失恋してやけ酒をしたら、婚活炎上の地サイゼリヤで命拾いをしたお話。

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